『大学生の論文執筆法』

大学生の論文執筆法大学生の論文執筆法
石原 千秋

筑摩書房 2006-06
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「最近の学生はレポートもろくに書けない」なんて巷では言われてそうだけど、まぁ書き方が分からないんだから仕方がない。
で、知らないことは勉強すればいいわけで、なんか適当な本でもないかしらと生協の書籍部に行った。
ハウツー的なものでもよかったんだが、それもなんかつまらんのでちくま新書から出てる石原千秋『大学生の論文執筆法』を買う。

少し読んだのだが、突っ込みたいところがあった。
本書は第一章と第二章の二部構成であるのだが、第一章は
「二・二/二・三/二・三・一/二・三・二」
といったように分節化されていて、章の最後にこんなことが書いてある。

「この第一章の奇妙な形式は、ある有名な哲学書を真似ている。翻訳は文庫では岩波文庫ちくま学芸文庫から出ている。文科系の学生なら、学生時代にその本を買って、パラパラ読むことぐらいはしてほしい。」

私が思うに、これはおそらくウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』のことを言っているんだろう。
だがね、石原さん。『論理哲学論考』は極限までムダな要素を省いてコンパクトにまとめられた文章の羅列が美しいのであって、真似するならそこまでしてほしいと思うのはわがままだろうか。文節番号のあとに普通にいくつも文章を書いたら、それはただのレポートのようになってしまう。

こんな文句を付けてはいるが、彼の書くことは相変わらず興味深いので、ありがたく読ませてもらおうと思うのですがね。